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2013年理事長対談Vol.4 川口 裕島本町長 2013年8月 1日
【プロフィールについて】
大矢 二期議員をされて、今回町長は三期目だと思うのですが、どういう思いを持ち議員になられたのでしょうか。
川口 議員になる前は大阪でテレビの番組を制作する会社につとめており、ディレクターの仕事をしていました。ディレクターの仕事には旬があり当時47歳でしたが、40歳を過ぎると現場から離れなければいけないのです。人事管理であるとか予算管理などをしなければいけなくなりました。そういう仕事が楽しくなかったのです。この仕事は現場に出るのが一番楽しいはずだと思っていました。テレビの世界は表面的な世界です。仕事をしている実感がありませんでした。地元に密着した仕事がしたいとずっと思っていました。それから会社を辞めたわけですが、有償で地元に密着したこと、役に立つことで何かできるかというと議員しかないのです。他は年齢制限があったりと厳しい状況でした。議員になった理由のひとつです。
大矢 議員を二期務められて、また、町長選に立候補されましたよね。それについて、色々なことを経験したうえで、自分の本当に思うことをしたければ町長にという流れがあるとよく伺います。川口町長はいかがですか。
川口 議員の時は、十六分の一あるいは十八分の一で決まっていくものですので、自分の考えが思いどおり通っていく世界ではありません。いずれは町長にという思いがありました。私の母親の意見では、町長や市長というのは地元の名士や資産家がやるものだという考えがありました。母親からは別に名士でも何でもないので止めておけということも言われました。そういうこともあり、町長選挙に出ることで悩みもしました。テンションがあがる時もあれば、やっぱり止めておこうかと思う時もありました。それと、現職と戦うにあたり、支持者などの地盤がないので非常に厳しい状況でした。駅立ちなどをしていましたが、非常に孤独でした。しばらくは一人でしたが、その内、友達などから頑張れと言っていただいたりしました。
大矢 縁があったのではないでしょうか。政治の世界は、地道な活動が強いと聞きますね。
川口 四年に一回ですからね。タイミングだと思います。一期待っていたら町長選挙には、おそらく出なかったと思います。一番、気持ちが高まっているときでないとしぼんでいくと思います。結婚と同じだと思います。タイミングが合わないとできません。気分が高揚している時に手を挙げないとできないと思います。議員は十六分の一もしくは十八分の一で潜り込めばよいのですが、首長選挙の場合は勝つか負けるかになります。色々なタイミングがあり、町長選挙に出たときは長男が大学を卒業し次男が専門学校を卒業したということで、学校を卒業してしまうと手が離れていくので、負けても何とかなるだろうと思って出ました。学校へ行っていたら、年間で100万近く必要ですし、それは厳しかったと思います。それを考えると、息子の年齢などの色々な要素が絡まって、行けというように背中を押された感じがします。
大矢 町長になられて、一期目、二期目、今回三期目とあるわけですが、一期目、二期目はどのような感じだったのか。一期目は右も左もわからなかったと思いますが、一期目、二期目の違いを教えていただければと思います。
川口 一期目と言うのは財政が非常に厳しかったので、職員がやりたい事業とか私がやりたい事業とかがなかなかできなかったのは事実でした。負債を減らしたり、貯金を増やしたりというのが一期目でした。お金の掛からない政策をやってきました。就任した時から職員に対し、「行動する役場」「顔が見える行政」ということを言ってきました。できるだけ住民に近づこうと思っていました。住民が偉いわけではなく行政が偉いわけではなく、お互いの境界線をはっきりさせよう、住民に近づく努力を職員全体でしていこうということ、行政の役割をしっかりと伝えていこうとしました。広報にも言っているのですが、行政の仕事や役割をしっかりと伝えなければいけません。行政の広報のやり方は非常に難しいです。
大矢 そうですね。広報はあまり上手くないですね。先日、高槻市役所に呼ばれ伺ったのですが、秋に祭りをおこなうということで、自分たちはPRが苦手なのでお願いできないかという相談を受けました。広報のおこない方をしっていれば、色々な団体がありますので協力してやるというのも一つの手かもわかりません。
川口 正確に伝えようとし過ぎてタイミングを逃してしまう。そういった行政の広報の悪いところがありますよね。結果が出てから伝えようとする傾向があるので、それは良くないと思っています。広報担当には、じっくり研究しなさいと言っています。例えば、銀行で待っている時に何をしているのかわからないのに待つと気分が悪いのですが、何をしているかわかって待っていると進んでいることが分かるので安心して待てる。スピード感というのは、そういうこともあると思います。実際のスピードとスピード感とは少し違うと思います。実際のスピードは手続きの早さとかになりますが、スピード感は見せていく必要があるのではないでしょうか。全職員にそういうことを伝えています。
【政策について】
大矢 一期目、二期目は良くわかりました。財政を切り詰めておこなったということ。これから三期目。議員数も十四名で議員報酬も見させていただくと少なめですよね。僕が思うのは、高槻市は三十六万人に対して三十六名、島本町は三万人に対して十四名、十四名が少ないとか多いなど意見はあると思いますが、私はそのくらいの人数が要ると思います。規模の効果と言うのでしょうか、三万人では十四名は要るだろうと考えますが、費用の面で比率するとどうしても増えると思います。そういうところを今後どのような考えでおこなっていくのかを聞かせていただけないでしょうか。どんな自治体も、そのような問題を持っていると思います。
川口 人口規模でいうと二十万人から三十万人が、一番行政効率が良いと言いますね。逆に、政令都市のように大きくなると逆に行政効率が悪くなると聞きます。やっぱり三万人というのは確かに行政効率が悪いです。議員の定数などもそうです。
大矢 そういったところの町長の考え方を聞かせてもらっていいでしょうか。国政の方向性もありますが、10年後とか20年後を見据えていかなければいけない中でどのような考え方を持っているのかを聞かせてください。
川口 難しい問題だと思います。頭の中で判断する部分と心の中で判断する部分があります。行政効率を良くしたければ合併してしまえば良くなると思います。ただ、選択と集中ということになって、メリットもあればデメリットもあります。なかなか判断が難しいと思います。どれだけデータで比較しても難しい部分があります。これから道州制の問題など、もう少しすると積極的に議論が始まっていくと考えています。道州制の基本法案が国会で可決されると積極的に議論をおこなっていくと思うのですが、道州制の中身がよくわかっていない部分があります。今後、道州制の議論が深まると合併とかの議論が深まっていくのかなと思います。
大矢 何年か前に合併などの話が話題にあがっていたと思います。最近は、そのような議論が少なくなっているように思います。それは問題ではないでしょうか。
川口 色々な市町村で平成の大合併という話がありました。そこで、細かい部分で意見のぶつかり合いがありました。合併協議会で仲が悪くなっているように感じました。難しい問題だと思います。もう一つ、合併の話で議論しなければならないのが、自治体の中で中核都市は仕事の範囲が広いのですが、どの役場も同じような仕事をしています。果たして、それで良いのかという議論をしなければいけません。高槻のように大きな自治体の仕事、私たちのように小さな自治体の仕事、もし狭い範囲でやるような仕事であれば議員の数も少なくて済むのですが、道州制の法案がどのような中身になるのか。その中で合併の議論は避けては通れないと考えています。
大矢 やはり議論を続けていかないと、今お伺いしたように議論が噛み合わない場合もあると思います。ゆっくりと長く続けていくこと色々な議論を重ねること、そう言ったことが雰囲気も変えると思います。
川口 難しいのが合併となると「島本を売ったのか。」となってしまう意見が多数でてくると思います。
大矢 ですが、将来のビジョンを考え、その中で合併が必ず必要というわけではないと思いますが、冷静に客観的に議論できるというのが大事ではないでしょうか。
川口 合併のことを軽視しているわけでもありませんので、みなさんには冷静に判断しようという思いがあります。
大矢 10年後20年後のことを、みんなで考えていく必要があると思います。
川口 こころでばかり考えてしまうので、頭で冷静に考えていくようにしなければ、やはり合併の議論は難しいのかと思います。合併という言葉を入れるだけで過剰に反応する方もいます。合併の議論をしなければいけないと言うだけで、合併推進派として受け止められてしまいます。
大矢 町長は、そういうジレンマが最近あったと思います。色々なこと含め全て理解していれば、やはり議論が必要だと感じます。
川口 一般の方は、高槻に出向くことが少ないです。行事や会議などで高槻へ行く用事のある方は少なく、一般の方は高槻のことをあまりご存じではないです。隣の市なのに、お互いのことをあまり知らない。
大矢 先日の公開政策提言会で発言されていた、高槻市と島本がWinWinの関係になるようにと話をされていたのですが話を進められているのですか。具体的に教員関係とかゴミ収集などの話になるのですか。
川口 進めなければいけないことは進めていますが、色々と問題があり、WinWinの関係は難しいです。
大矢 3期目に出馬されるのにかなり悩んだと思いますが、維新の会の動向があったということもあり、町長としては次の世代に任せたいなどの思いはあったのでしょうか。
川口 維新の会は維新の会でできることをしていただければ良いと思います。摂津さんも3期目で、北摂市では摂津市と島本町が3期目、高槻市1期目、茨木市1期目、吹田市1期目、池田市1期目、箕面市2期目、豊能と能勢町は1期目、豊中市が2期目、大阪府全体で見ていても3期までやる首長はあまりいません。ある程度、若い方がしなければいけないと思います。
大矢 島本町は議会情報をどのように発信しているのでしょうか。高槻市ではケーブルテレビなどを入れておこなっています。テレビを入れるのは嫌がられるみたいですが。この頃、議会改革とテレビで良く言われています。
川口 議会改革特別委員会というのがありますが、個人的に議員さんがペーパーやブログなどで発信しているのは見受けられていますが、それ以外は議会だよりであり、議会基本条例を作るなど検討されていますがあまり進んでいないようです。
大矢 よく聞くのが、各議員が自らをアピールする場となるのではないかと聞きます。
川口 スタンドプレーに走ってしまうのではないかと心配の声もあります。
大矢 先日おこなわれた公開政策提言会に出席いただきましたが、どうでしたでしょうか。
川口 難しいものだなと感じました。テーマが大きいので注意したことは、できるだけ差別化を図りわかりやすくしようということでした。「この人はこう言っている。」「私はこう違う。」と、どのように示していこうかというところで苦労しました。大きなことで議論をすると、差別化がなかなかできません。大きなテーマがあり、自分の考えを整理し、さらに間違った発言も否定しなければならないので、今回のテーマに沿って発言するに当たり、時間の配分が難しいと感じました。争点自体が明らかになっていれば的確な議論ができたのかと思います。
大矢 本当は討論するのが一番良いのかなと考えていました。討論となると、どうしても市町村合併に関することになると思いました。市町村合併の話が一番してほしい話ではないかと考えましたが、高槻青年会議所は、このような試みは初めておこなったのですが、そういう部分に触れてもいいのかという意見もあり、今回のテーマとなりました。
川口 来られている方が冷静でした。変な雰囲気にならないように気を付けていました。例えば何か言うと拍手が起こります。会場の雰囲気は、たった一言で大きく変わります。それを心配していたのですが、青年会議所さんのお陰で極めてスムーズに進み、コーディネータの植松さんも的確な進行で良かったと思います。公職選挙法との関係が難しく、公約みたいな発言はできないので、今後の街づくりのようなことを言うと公約に書いていることと重なってきて、自分の中ですごいジレンマを感じながら話をしていました。
大矢 もっと言いたいことがあったと思いますが、言えない、制限があったりするということですね。高槻青年会議所の中でやりたいという気持ちがありました。動員がいまいちでした。日中に駅前などでアンケートを取ったりしていたのですが、我々世代の方たちからアンケートを取れていないので、そこが、もっとやらなければいけなかったと思います。年配の方が多数になっても、20代から40代くらいまでの政治に関心のない世代にもっと興味を持ってもらえるようなこと、選挙に興味を持ってもらうことが、我々の目的でしたので、そういう意味でいうともう少しできることがあったのではないかと思います。
川口 やはり、若い候補者が出てくれば良いと思います。年配の方ですと、それなりの候補になってしまいます。
大矢 そのように言っていただけるということは、良かったということでよろしいでしょうか。
川口 公開政策提言会が、相手の人と私の流れを変える一つの大きな潮目になったのかと感じています。私は現職ですので時間がなくなかなか活動はできませんでしたが、その流れが変わっていったのかと思いました。
大矢 私どもとしても、より良い情報を住民の方にお渡しできて良かったです。
【若年層について】
大矢 私たちの次の世代を育てていかなければならないと思っています。町長の視点から見て、今の若年層をどのように捉えているのでしょうか。
川口 息子が2人、今年30歳になる子、28歳になる子、その2人の息子を見ていると今の社会が厳しいというのは伝わってきます。厳しい状況の中にいると思うのですが、元気さというものが出てこなくなっている。それは可哀想だと思います。安心して見ていられることは、今の30歳前後の人は、人と接するのが上手だなと思います。この人たちなら、しっかりと時代を作っていくのではないかと感じます。経済状況が良くなって労働環境が良くなればいいなと思っています。
大矢 20年を超えるデフレというのは大きいですね。人の心が折れることも出てきます。その中で頑張っている方も居られます。景気が良ければ、もっと良い環境になっていたのかもしれません。
川口 今の子たちが、厳しい時代を頑張ってもらわないと良くなりませんからね。
大矢 今の小学校や中学校で体罰の問題などがあります。そういったことも、もっと考えていかないといけませんよね。何をしても良いのかという環境になりかねません。
川口 今の子どもたちは怒られ慣れしていないから、そのあたりが難しいみたいですね。僕らは平気で怒られたりしていましたけど、そういう意味では難しいですね。
大矢 怒られることと失敗すること、失敗するリスクを取らない。今の20代の中でも、リスクを取らずに普通にやろうとしてしまうので、何事も楽しくない。そういったところが大きな問題ではないかと思います。失敗させないといけないのかなと思います。
川口 僕たちの時でも、タバコを吸ったり万引きする子も居ましたけど、タバコを吸う場合でもみんなの前で堂々とすることがありませんでした。隠れておこなうのが暗黙のルールみたいなものでしたが、今は平気でしていますよね。大人が悪いのかもしれませんが、今は注意するのも怖いですよね。
大矢 殴ると事件になりますからね。犯罪になりますからね。
川口 難しいなと感じています。
大矢 それは国がしっかりとしたガイドラインを作ってもらわなければなりません。私は、このゆとり教育が完全に間違っていたのかなと思います。しっかりとした根幹からのものを作っていただいて、国から情報を発信していかないと大変なことになると思います。
川口 教育は100年かかると言いますからね。
大矢 元もとは隣の家の人が怒るとかありましたけど、今は怒れなくなっています。何を言われるかわからないので、怒った方が変に思われる、そういった環境が出来てきていると思うのですが。そういった中で、後退していっているのかなと感じています。
川口 遊びの部分が無くなっています。
【私たち青年会議所に期待すること】
大矢 私たちは高槻市から色々な交流があったり、色々な催事に呼ばれたり、発案のために色々なことを手伝い、高槻まつりのことでは副実行委員長、市における色々な事業に出向ということを毎年おこなっています。島本町においてはそういうことが無いです。我々は高槻、島本町の青年会議所ですが、我々の中にも島本町のメンバーが居なくて距離感がでてきていると思っています。そこは今年の内に埋めなければいけないと考えています。
川口 島本の中にも若い事業者の方が、商工会議所とかに入って色々なことをしようとしているのですが、なかなかうまくいかないようです。もっと面白いことをしたがっている事業主さんも居るのですが、そこら辺の部分を応援していかなければならないと思っています。
大矢 公開政策提言会を高槻青年会議所主催でおこないましたが、島本町での事業は5年振りくらいのことだと思います。
川口 以前、名神の高架下に絵を展示する行事をしていましたよね。あれは効果があって良かったと思います。
大矢 それは8年くらい前だと思います。我々の地域は、高槻島本になっているにも関わらず、どうしても距離感がでてきていると感じています。
川口 島本町も事業が色々とありますが、まだ、一つの力になりきれていないと思います。そこら辺のことを高槻青年会議所の方と一緒にやっていければ良いなと思っています。私達は、高槻青年会議所さんの行事、新年互例会などにも参加しますが、勢いであったり元気さであったりというのは凄く大事なことだと思います。「やっぱり止めようかな。」という人がいるとなかなか前に進まないけど、とりあえずやってみようというのが世の中の元気さを生んでいくのかなと思います。
大矢 できない理由を探しますからね。
川口 全然、面白くないですよね。聞いていても面白くないし、世の中を全然面白くできていないので、元気になって欲しいなと思います。
大矢 そうですね。高槻青年会議所は島本町での事業も協力していきます。本日はありがとうございました。本年もよろしくお願いいたします。
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